2010年11月12日のブログで親知らずと骨折について書きました。
今回は親知らずと歯根吸収についてです。
歯根吸収は歯の根っこの部分が溶かされたり、短くなったりすることです。
矯正治療中に根っこの先が短くなることがしばしばありますが、埋まっている歯の方向が悪くて、埋まっている歯のエナメル質が隣接する歯の根っこに当たると根っこを溶かす場合があります。
上のレントゲンは下の左右の親知らずが斜めを向き、前の第二大臼歯の根っこにあたっている患者さんのものです。
親知らずと第二大臼歯の部分だけ拡大します。
矢印の親知らずと第二大臼歯の重なった部分、第二大臼歯の根っこが横から溶かされています。
ここまでくると、親知らずを抜いても第二大臼歯が元に戻ることはなく、歯が長く持たないので第二大臼歯を抜歯し、親知らずを第二大臼歯のかわりに使うことにしました。
左の第二大臼歯を抜歯した後です。右はこの後に抜きました。
矯正治療で親知らずを前に動かし、上の歯と咬ませました。
この患者さんの場合、高校生ぐらいで歯科医院を受診して、親知らずのレントゲンを撮る機会があれば、親知らずを抜く方法を選択したかもしれません。
でも、訴えもなければ親知らずのレントゲンをわざわざ撮ることもできないのから仕様がありません。
行政が決断して、小中高校生くらいの健康診断でパノラマ撮影をルーチンに導入してくれればいいなー。
埋まっている親知らずは、自覚症状がなくてもこのような悪影響を及ぼすことがあります。
親知らずが生えていない人は、どこか記憶の片隅にでも入れていただければ幸いです。(親知らずが最初からない人は別ですが。)